LC4RIによる実行可能ドキュメントとナレッジ化の実践記(LLM時代のドキュメントプラットフォームの現在地)
概要
IaCやCI/CDによるプラットフォーム運用の自動化が進む一方で、根幹となるオペレーションは依然としてコピー&ペーストやタイピングによる手作業が主流であり、手順飛ばしや、タイプミスによる作業ミスのリスクを抱えています。さらに、扱う技術要素の多様化、複雑化により、プラットフォームエンジニアの認知負荷の増大が深刻な課題となっています。AIエージェントによる自動化も可能ではありますが、現時点では予期せぬ環境破壊のリスクがあるため、人による手作業に頼らざるを得ないのが実情です。本セッションでは、この課題を解決するため、LLMと相性の良いMarkdown形式の運用手順書をそのまま実行可能にする手法「Literate Computing for Reproducible Infrastructure(LC4RI)」を組織に導入した実践事例をご紹介します。 ①スモールスタートからの組織展開 チームレベルでLC4RIをツールに落とし込み運用を開始。Markdown形式のコマンド部分のみを実行し、結果を元のドキュメントに反映させる仕組みを実装しました。LLMを活用しながらスピーディに手法の評価と追加実装を重ね、運用手順の品質を担保しつつチームレベルの検証や活用から部署レベルの組織全体へ展開しました。 ②Notion AIを活用した再現性の高い手順生成 運用証跡として、誰が・いつ・どのような結果を得たか、をNotionにアーティファクトとして記録。蓄積された過去の実績をNotion AIが学習・生成することで、ケースバイケースで再現性の高い運用手順を作成可能にしました。 ③今後の課題 手順のマスター管理や環境差分の吸収など今後の課題はありますが、生成と実績のループにより蓄積されたドキュメントは、将来的に人間とAIエージェントが安全に作業を行うためのインタフェースとなり、危険な作業を抑制するオントロジーとなります。その先にある人間は承認と例外対応に集中し、AIに安全に作業を委ねる「AI Native Platform Engineering」の世界観が実現します。
LC4RIAILLM運用作業手順書ドキュメント作業品質テンプレートOSS自動化
スピーカー

SIer→事業会社→ITコンサルタントとして四半世紀業界を渡り歩いてきました。SRE/CCoE/CSIRT経験があり、インフラ・セキュリティ周りの業務をメインに行ってきました。その一方でOSSコミッターとして個人プロダクトを作ってはリリースしています。現職ではPMとしてプロダクト横断でこれまで培った知見を生かしたマネジメントを実践し、また、心理的安全性を高めるモダンエルダーとしてチームの働きやすさに日々貢献しています